2014年もあと数日となった年の瀬に「ヤンキース黒田博樹広島カープ復帰」のビッグニュースが飛び込んできた。日本球界、アメリカ、広島ファンもサプライズだ。
メジャーの一線級を相手に5年連続二桁勝利を挙げ、FAで21億円のオファー、ニューヨークのファンからも愛された男が現役最後として選らんだのは古巣「広島」だった。
MLBで満足な結果が残せずの出戻り、力が衰えての復帰ではない。今オフ各チームは様々な補強を行ってきたがバリバリのメジャー投手「黒田復帰」は結果、最大最高の補強となった。
黒田は移籍会見で「広島相手に投げる自分の姿は想像出来ない」と発言。今回の復帰や他選手、OB等のチームとの関係や言動からどこか「封建社会」にも似た空気を感じるのだ。
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毎年、確実に成績を残しヤンキースでも一番安定した投手の評価を受けつつも、契約は1年更新。
本人は本当は「使えないと思ったらいつでも切ってくれ」 1ヶ月更新でもいいという位のまさに「武士道」の覚悟で、 メジャーで投げ続けた。
カープ球団は松田元オーナーの「FA宣言残留は認めない」方針の下、近年では黒田を含め江藤、 金本、新井等々、チームの主力選手は「FA宣言=移籍」という苦渋の決断を下していた。
ワンマンオーナーと言うと、すぐに巨人ナベツネこと渡邊恒雄氏が思い浮かぶが、 祖父から三代続けて同族経営オーナーの松田元氏の強権的経営は余り知られていない。
絶対的権力を持つ松田氏の一元的な球団運営は、時に機嫌を損ねたマスコミの出入り禁止、 オーナーの一声で監督・コーチ人事がひっくり返る、ポスティング容認の兆しを見せていた 前田健太のメジャー移籍を容認しないという様な面もある。
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逆にぶれることのない「一貫性」は「大金は使わず自前の選手を育成」することで カープは「元祖地元ファンに愛される球団」になっていたし、厳しい若手指導は 多くのスター選手を生んできた。
若くして亡くなった津田恒美氏を今でも絶対に忘れないファンの気持ちと、 その津田魂を受け継いで行こうとする選手達の「一体感」
主力選手達がシーズン中でも軒並み昼過ぎには「早出特打」練習に 球場へ来ていた光景は、私の目に焼き付いている。
古くからカープの選手達には「侍」「武士」の臭いがするのは、 厳しい練習を耐え抜いたこともあるが、 この絶大な権力を持つオーナー家と選手との「封建的」関係 にも遠因がありそうだ。
安芸広島松田藩にはお金はない。 ただそれぞれの藩士は武士としての矜持を持ち、 日々道場で厳しい稽古をし、藩であるチームのため、 領民のファンのために戦いに備える。 その心は代々受け継がれていく。
阪神にFA移籍する際に新井貴浩は号泣した。
黒田は必ず戻ってくると約束した。
そして、今オフ居場所を失った新井貴浩は、オーナーから戻ってこいと言われ、 黒田は21億のオファーを蹴って復帰した。
大金は貰えないが、チームを出た広島戦士の心のどこかでカープは 「故郷」的要素があるのではないか。
今オフもFA、メジャー帰り、外国人等、様々な補強が行われた。
しかし、マネーゲームには絶対に参戦しない(出来ない)広島カープが、 結果「黒田の復帰」によって、オフの補強の最大の勝者となった。
広島時代から「武士道」を貫き、それはアメリカに行っても変わらず高い評価を受け、 結果も残した黒田が、約束を果たし広島に帰参した。
代理人を立てファンや他球団を振り回し、年俸を釣り上げたいのか? 何がしたいのか?不可解な状態が続き、結局残留を決めた某選手の話が 片付いた直後だけに、何か清々しささえ感じる。
今季、一時は優勝も狙える位置までチーム力を上げてきたカープが、 来季、黒田の復帰と前田健太の移籍保留によって俄然「優勝争い」を する可能性は高くなってきた。
もう少し「メジャーの黒田」を見たかった気もするが、 ニューヨークのファンをも味方に付けた黒田が日本球界で、 どれだけのパフォーマンスを魅せてくれるか?
今から楽しみで仕方ない。
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