2015年、球団創立80周年の開幕戦を迎えたタイガース。
打線が全体的に調子を落としている雰囲気の中、中日・山井を打ちあぐね、開幕投手のメッセンジャーが失点を重ね「負けパターン」の展開になったが、中日・中継ぎ陣の調子の悪さに阪神打線が間隙を突き、74年ぶりとなる「開幕サヨナラ勝利」となった。
結果的には劇的勝利となった開幕試合を検証したい。
(画像提供:列島宝物館)
2014年の最多勝投手同士の投げ合いで始まったドラゴンズとの開幕戦。
大方の順位予想では、最下位予想の多い中日相手だけに、そして今季は80周年メモリアルシーズンだけに開幕戦は是が非でも勝ちに行きたいところ。
開幕前日の当「ゐ太夫のぶろぐ」でも書いた「3番サード西岡の不安」もあるが、和田監督は構想通りのスタメンで臨んできた。
打撃
タイガースの打撃陣が打線として繋がり機能するか?が私の一番の不安材料であった。
初回、山井の立ち上がりを鳥谷が先頭打者として技ありのセンター前安打で出塁する。
1点を先制されているだけに早く追い付きたいところだが、上本、西岡が連続三振。
オープン戦中盤までは、絶好調だった上本もまだ開幕直前に落ち気味の打撃の調子が続いている様子。
西岡は、まだまだ本調子とはいえない内容で中日バッテリーに攻略されていた。
続くゴメスは開幕戦の硬さからか、少し強引さが見えるものの、外角の落ちる球に対応は出来ていた。
その後、山井の前に打線は沈黙。
打線としての繋がり以前に、出塁すら出来ない状態が続いた。
マートンのタイミングが珍しく合わないこと。西岡の調子はまだまだといった形。
8番に入った大和と西岡がスタメンでは一番調子が悪いのではないか?といった内容だ。
一方、福留は内容は良いが飛んだ方向が悪いという不運もあった。
梅野も不運はあったが、相変わらずの思い切りの良いスイングだが、もう少し外角と低めの見極めが出来てくると率も上がってくる。
7回を3安打、失点は福留のセンター前タイムリーのみに抑えられた山井が降板し、中日の売りである中継ぎ陣、又吉が全く良くなく、故障明けの浅尾も全盛期の面影はなく、8回の4連続安打に繋がった。
メッセンジャーがじわじわと失点を重ねる「典型的な負けパターン」だったが、不調の西岡も完全に崩されながらもバットの先でなんとかセンター前に落とすタイムリーで、結果初安打を記録出来たのは自身の今後の打撃にも好影響を与えるだろう。
ゴメスが自分では狙っていないとのことだったが、ライト線に右打ちタイムリーを記録したのは、今後対戦する相手に今季は右打ちもあると思わせることが出来る。(オープン戦でも2度ほど、右打ちが見られた)
(ゴメス右打ち同点タイムリー映像)
その後、再び決めきれないシーンが続き、延長戦になったが、ここまでらしくない打撃内容を見せていたマートンでサヨナラ勝利を決められたのは、マートン個人にとってもチーム全体にとっても大きな収穫だ。
(開幕戦 ダイジェスト映像)
投手陣・守備
まず先発メッセンジャーの6回3失点に関しては余り心配はしていないが、何か体のキレが感じられず奪三振が4という数字が、それを物語っているのではないだろうか?
守備面では、不安の西岡のサード守備機会は簡単なバウンド処理とフライ処理の2度だけのため、評価は出来ず。
右中間を抜けそうな鋭いライナーを軽々とランニングキャッチする福留の守備力の高さは今季も健在であることを証明した。
8回、桑原の登板時にライトファールゾーンフェンスギリギリのフライで、ボールボーイが邪魔になり、福留が交錯を避け捕球体勢に入れなかったのは問題であり、その後失点に繋がったことを考えると、桑原も不運であった。
桑原の評価はまだ1試合だけでは避けたい。
投手の収穫は、榎田が1イニングを2奪三振と完璧な内容で抑えたこと。
延長戦最後を投げた松田遼馬も四球は出したものの、球威は戻ってきている。
呉昇桓(オ・スンファン)は、制球定まらず満塁のピンチを作ってしまったが、そこまで心配はしていない。
そして、何より開幕戦で延長にまで持ち込まれた痺れる展開で、梅野がマスクを被り続け成長したリードを魅せたことも収穫だ。
総評
長々と書いてしまったが、開幕戦は野球の定石で言えば「負けパターン」であった試合を勝てたことが一番大きい。
ただ、打線は山井に抑えられ、完全に自滅パターンになった相手中継ぎ陣に助けられた部分が大きく、3番西岡と8番大和のところは懸念材料でもある。(8番センター江越も視野に入れた方がいい)
投手・中継ぎ陣に関しては、今季は福原・安藤の登板過多という状況から脱することが出来そうで、若い活きのいい投手が多いだけに、今後余り「勝ちパターン」「負けパターン」の中継ぎという投手起用はしない方がいいと思われる。
やはり野球は計算が立つ「投手・守りから」と考えると、今季のタイガースは80周年に相応しい闘いが出来ると考えている。
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